調剤薬局4社目。管理職まで経験した40代男性      スペシャリストの転職

薬剤師の転職事例

2021/05/28

薬剤師の転職実態に迫るインタビュー記事シリーズ「薬剤師×転職 その一歩を踏み出したきっかけ」、第二弾は「調剤薬局4社目。管理職まで経験した40代男性スペシャリストの転職」です。

――まずは自己紹介と、簡単な職務経歴を教えて下さい。
 東京都在住、Kです。43歳、妻子もちです。
 職歴は、
 1)新卒で地域密着型調剤薬局(系列店数:5)に2年半(管理薬剤師も経験)
 2)東京都全域に展開している調剤薬局(系列店数:13)に13年 
   (そのうちの2店舗の責任者として8年間)
 3)中規模調剤薬局(系列店数:約30) 1年半
 4)小規模調剤薬局(系列店数:2) 今夏から勤務開始
という流れです。
店舗数だけで言うと20以上を経験しました。

――多くの転職をご経験されていますが、転職に踏み出したきっかけをそれぞれ教えて下さい。
転職① 調剤薬局(系列店数:5) →調剤薬局(系列店数:13)
 独立。これが1番の目的でした。独立を考え始めた理由は、経営者への不満ですね。不満の一部は、経営者が非薬剤師だったことによるものだと思います。タイミングよく、将来的に独立できる転職先のお話をいただくことができましたので、決断しました。

転職② 調剤薬局(系列店数:13)→調剤薬局(系列店数:約30)
 独立を期待して、会社組織のナンバー2までは到達しました。2店舗の責任者をやりながら、それ以外の店舗や新規開業店舗にも、深く関わりました。しかし、ナンバー2はナンバー2で、実質的な経営者ではなく、思い描いていた経営者になることはこの会社では難しい。気付いたその時から転職を考え始めました。
 エリアマネージャーというのは名ばかりで、結局は社長の意向のみですべてが決まる、そんな状況に不満を感じずにはいられなかったんです。一番の決定打は、1つの人事関連の出来事です。自分は当該案件に強く反対したのですが、社長の一存で決定されてしまいました。その結果、予想通り現場は大混乱して、自分が中心となって対処に追われました。
 あとは、勤務環境が安定しなかったことも不満でした。会社のナンバー2として複数店舗に関わっていたので、東京中の様々な店舗に行きました。人が足りなくなればどこへでも行く、そのような環境は身体的にも精神的にも負担は大きかったです。ある程度は職場環境が安定してほしい、と考えるようになりました。
 2回目の転職時には、独立について考えていませんでした。この時、転職先選びで重視したのは経営理念です。今まで経営者との距離が近く、自分の考えと経営者とのギャップを感じておりましたので、そのギャップを改善できる経営理念を持った会社を探しました。

転職③ 調剤薬局(系列店数:約30)→調剤薬局(系列店数:2)
 2回目の転職時には、自分に合う経営方針の会社を見つけることができました。ただ、社長・専務・会社の方針は良かったのですが、規模が大きくなることで別の障壁が出てきました。社長や専務との距離が遠くなり、自分の思いや考えが伝わらないことです。具体的な事例でいうと、人員不足についてマネージャーに私や同僚が問題点を訴えても、そこから上の部長以上に話が伝わらず、慢性的な人手不足状態が続きました。その結果、対人業務ではなく、対物業務に追われる状況が続き、限界を感じました。それでも、会社への満足度はある程度あったので、転職までは考えていなかったです。しかし、偶然にも良いお誘いをいただき、転職を考えました。
 夏から勤務する会社は、店舗数が2店舗で、新しくできた2店舗目を任せていただきます。そこでは業務量に見合った事務員/テクニシャンのサポートが見込まれるので、自分の余力を対人業務に回すことができます。実際の業務量としては今より増えますが、対物業務に縛られ過ぎている現在よりやりがいがあります。そのような自分の思う労働環境で調剤薬局を運営していけると感じたため、転職を決断しました。

――転職時の決断は容易でしたか?
 1回目は、若いし独身で、そこまで深く考えずに転職しました。2回目以後も、自分が「転職したい」と思って素直に行動しただけですね。そういう意味では、決断に躊躇はなかったですね。

――ご家族から反対などはなかったですか?
 ありません。有難いことに、妻は「やりたいならやれば」というスタンスです(笑)。

――どのような方法で転職先を見つけましたか?
 一回目と三回目の転職は、知り合いを通じてです。どちらの方も、薬剤師として働く上で知り合った方々です。
 二回目の転職時は、紹介会社を利用しました。紹介会社のエージェントと相談して、まず10社に絞りました。そして1社ずつ面接していき、5社目で「ここだ」と思いました。専務の印象がとても良かったんです。10社すべて見てから、と思っていたのですが、回答期限を設けられてしまい、自分の思いに従って5社目に決めました。

――紹介会社を利用した転職と、そうでない転職がありますが、どのような違いがありましたか?
 紹介会社のエージェントから得られる情報は、インターネット上や他社サイトで見ることができる情報が多かったです。紹介手数料がかかることを考えると、今後使うことは無いと思います。

――複数回の転職経験により、良かったこと、苦労したことを教えて下さい。
 当たり前ですが、転職時は環境が大きく変化し、慣れるまでに時間と労力がかかります。そこは苦労するのですが、その分、自分の力にもなるので、良かったことでもあります。より多くの人と人間関係を築くほど、自分の力になると思います。大変ですけどね(笑)。

――小規模調剤〜中規模調剤まで、様々な調剤薬局での勤務を経験されていますが、薬剤師として働く上で、会社規模による違いを教えて下さい。
 30店舗もあると、大きな組織としての体制がしっかりしています。縦割りがはっきりしていて、例えば営業部など小さい会社にはない部署があるというのは、非常に新鮮でした。
 ただその分、自分の声が上層部に届きづらくなるのは、前述の通りデメリットに感じました。
 また、会社が大きくなると、現場へのヒアリング無しで強制的な指示を出されることが多いように思います。新たなツールの導入や、販売促進の指示などが、典型的な事例です。
 逆に、会社規模が大きければ大きいほど、つぶれにくいということはあると思います。薬剤師がいつでも就職できる、という時代は終わりですから、そこは大手の強みですよね。

――これから転職を考えている方へ、アドバイスをお願いします。
 一番考えてほしいのは、「なぜ転職するのか?」です。僕は、より良い未来のためでした。その思い描く未来が、今いる環境で達成できないと感じたので決断に至りました。自問自答を繰り返し、明確な理由があるのであれば、すぐに転職すべきだと思います。転職しなかったことを後悔しないように!
 転職時に注意してほしいのは、理想とのギャップです。必ずギャップはある。ただその中で、譲れない部分はどこなのか、を明確にしておいた方が良いです。そのためには、自分の性格をよく知っておくことが大事です。
 あとは、ワークライフバランスも重視した方が良いと考えています。趣味や楽しい事をする時間が取れる、と言った自分を大切にできる環境や、家族がいる方は家族との時間もある程度取れる、という環境が重要だと思います。

――ちなみに後悔した転職はありましたか?
 ありません。すべての転職が、自分の力になっていると思いますし、転職して良かったと思っています。


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