夢を追い続けた薬剤師パイロットへのインタビュー!
薬剤師×異業種
2021/06/02
――まず、自己紹介と、簡単な職務経歴を教えて下さい。
東京都在住H(男)30代、独身です。
大学卒業後からの職務遍歴を大まかに説明すると、
1)航空会社(パイロット訓練生) 1年
2)調剤薬局 4年
3)パイロット訓練校 2年
4)航空会社(研修〜副操縦士) 3年
という流れです。
大学卒業後、パイロット訓練生として航空会社に入社しましたが、1年目のときに会社の経営状況が悪化して訓練が止まってしまい、退職することにしました。当時の状況で勤務を継続しても、パイロットになれる未来が見えなかったので。
しかし、パイロットになる夢は諦めていませんでした。パイロットになるためには、航空会社で訓練する道と、自分で訓練校に通う道があります。残された後者の道を選択するには、お金を貯める必要があり、そのために調剤薬局で4年間働きました。貯めたお金でパイロット訓練校に2年間通い、無事卒業して航空会社へパイロットとして入社することができました。現在4年目です。今は副操縦士として勤務しています。
――なぜパイロットを目指そうと思ったのですか?
大学在学中の就職活動時に、以前から興味があったパイロットを目指そうと思いました。小さい頃に行った旅行先で、コックピットに入れてもらったことがあったんです。その時の衝撃はすごくて、「パイロットになりたい」と強く思いました。その思いは就職活動を行う時まで変わらなかった、という感じです。
――薬学部を卒業する方の多くは、調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社などに就職されるかと思います。そのような就職先は考えなかったのですか?
考えませんでした。航空会社は、学部を問わず試験を受けることができたので、まず挑戦してみようと思いました。
――調剤薬局の就職先をどのように見つけましたか?
紹介会社を通して探しました。いずれパイロットを目指す予定でしたので、3年前後で辞めるという条件を最初から伝えて面接し、唯一受かった個人薬局に就職しました。
――転職時に困ったことはありましたか?
3年の期間限定という厳しい条件で、なかなか就職先が見つかりませんでした。紹介会社に登録後、エージェントの方から連絡が来るのを待つ期間が長く、働けるのか心配な気持ちにもなりました。自分ですぐに検索できるSHAKEのようなものがあれば、探しやすかったとは思います(笑)。
――そのまま薬局で働き続けることは考えませんでしたか?
もちろん、薬剤師のやりがいを感じることはありました。患者さんに感謝されたときとか。薬局の方々にもとても良くしてもらいましたので、職場環境も良好でした。しかし、パイロットの夢を諦めるまでには至らずで、そこに迷いはありませんでした。
――28歳で、学生になるところからの再挑戦ですが、そこに不安はありませんでしたか?
ありませんでした。薬剤師の国家資格を持っていることが、安心材料の一つだったと思います。
――薬剤師免許を持っていて、パイロットとして働く上で助かったことはありますか?
直接的な影響は正直無いです。ただ、パイロットは健康管理も重要なため、薬や健康の知識があることは役に立っていると思います。
――今は副操縦士としてご活躍されているとのことですが、やりがいはどんなところにありますか?
う〜ん…、「お客様を目的地まで運ぶ」というシンプルな仕事ですが、フライトには天候など様々な環境要因が影響します。大きな問題なく目的地に到着できたときに、達成感を感じます。言葉で説明するのは難しいですね(笑)。
――今後のキャリアプランを教えて下さい。
まずは機長になることを目標にしています。ただ、今は新型コロナウイルスの影響でフライト数が減っているため、副業することも正直考えています。まだ具体的には見えていないのですが、それは薬剤師関係の仕事になるかもしれません。
――異業種で働くことを考えている薬剤師・薬学生に、メッセージをお願いします。
やりたいことを見つけたら、積極的に挑戦した方が良いと思います。失敗したところで、薬剤師免許があるので、死ぬことはありません(笑)。
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